英日、というか妖精話です。会話ばかり注意。




 

「はーい、それじゃあ、定例妖精会議始めまーす」
「はーい」
「はーい」
「うぃー」

「じゃあ、まずは東の森ね。今期は特に変わった気候もなく変化はありませーん」

「西の泉、異常無し。強いていえば……誰か最近首無し婦人の幽霊見てね?」
「あ、あたし南の四辻で見たよ」
「そっか。いや、元気ならいいんだ元気なら……ああ、観光客減るなー」
「まあ、すぐに戻ってくるって妖精王! そう肩落とすなって」

「じゃあ次は北の川だ。……魔女の弟子がキノコにあたって死に掛けたってことぐらいかな」
「げー……それ、世も末じゃね?」
「まあ、どこも伝統を保持するのが大変って話だし……しょうがないよ」

「そ、そうかなあ……あ、南も特には何もニュースはないです」
「じゃあ、他に何か報告とかあるヤツいるー?」

「あー……じゃあひとつ。今度イギリス坊やの家に友人が遊びに来るらしいって」




『…………』



「聞き違いだよ」
「勘違いさ」
「早とちりじゃない?」

「ああ、どうせフランスあたりのイジメだって」
「そうそう。気を持たせて〜っていつものパターン」
「あはは。じゃあ、がっかりしてる頃にまた皆で押しかけるか」
「お、酒飲めるかな?」
「飲める飲める! どうせヤケ酒かっくらってるでしょ」

「うーん、じゃあ楽しみにしてようか! ……で、それ、いつ?」




***

「えっ……くし!」
「あれ、どうかしましたかイギリスさん?」

 唐突に肩を震わせて、くしゃみをひとつ。

 いつも背筋を伸ばしてしゃんとしているイギリスの珍しい姿に、日本はきょとんと目を見開いた。無論、イギリスが常に気を張っているのが自分の前だけだなどとは気付いてもいない。

 イギリスはふいっと横を向くと、ふんと鼻をならした。耳が赤い。
「おおかた、どっかの馬鹿が噂話でもしてたんだろ……ところで、」
「なんでしょう」

 ちらり、と横目で日本の表情を伺うイギリスに、日本はやわらかなほほ笑みを見せた。
 二、三回口をパクパクさせてから、彼なりのさりげなさを装ってイギリスは言った。肩にめいっぱい力が入ってはいたが。

「お、お前今度俺の家に来るって言ってたよな? いつがいいか?」
「そうですね……次の連休はいかがですか」

 問題ない! 問題ないぞ! と謎の握りこぶしを作っていうイギリスに、日本はとりあえず笑顔で返した。
「楽しみにしていますね」
「お、おう!」


 ところでお前の家の休日だけど……としどろもどろに会話を続けるイギリスに、ほのぼのと答える日本。



 彼らは、その訪問の日に、やたら大きなポルターガイストに見舞われる事を、未だ知らない。








イギリスこんなんばっかり。
定例妖精会議と『……』のあとの会話が書きたくて書きました。
「それはなんじゃい」と突っ込んだら負けです(え

これが英日かはものすごく疑問。次こそは妖怪を……!!

Sep 28, 2007