何の気なしに控え室をのぞきこんだらゲルマン系の背の高くて肩幅の広い青い目の男が頬に紅葉を散らしてぼさぼさの髪でへたりこんでいて扉を開けた私に気付いて上目遣いと目があった、どうしようもなく情けないその姿で何かを言い訳しようと息を呑んだ彼の姿にふと思い出したのはほこりっぽい戦場の血の香りで私は大きく目を見開いたそうじゃない、彼はただの近所に住んでいる青年で無口だけど人がよくて(傲慢で人を食ったような性格で減らず口の憎らしいヤツで)私の弟代わりの子がとても懐いている(私の兄代わりの人をひどく嫌っていた)。
「ああ、これは、その」
 恥じいったように肩を落とす彼、意外に長い前髪が崩れて白い顔にかかり青い目が自重気味に細くうるんでいた常の私ならきっとこの場をうまく繕って彼と彼の腫れた頬のためにすぐ清潔で冷たい濡れタオルを用意するだろうしかし驚いたことに私の足は勝手に彼の方に向かって一歩、二歩と進んで


「           」


 はっと顔を上げた彼の情けない顔を一度だけ   してカチューシャを取った、手を伸ばして目の前の青年の頭に前髪がオールバックになるようにぐいと押し込んで解放する。さえぎるもののなくなったぽかんとした表情は痛々しく間抜けだったがそれでもまあ彼らしくて安心した。

 かわいらしいカチューシャを付けたまま腑に落ちない表情で彼は私を見ていたが、氷を包んだタオルを渡しもうこれ以上構う必要のなくなった彼に私は遠慮なく背を向けた、あれだけの跡をつけるほど強くあのごつい顔を殴ったのだ殴った側とて手を痛めてしまっているだろう特にそれが可愛い弟ならなおさら様子をみにいかないではいられない。控え室から出る直前に扉を閉める直前に呆然とした彼の姿にほんの少しだけ目を細めて笑ってみせた、混乱極まりないといった様子の青年に同情しないわけではないが謝る事などできるわけがない、そうかつて私はひどく不器用だった。




「 さ よ な ら  ま ぼ ろ  し      」











 ドイツをプと一瞬だけ見間違えて素にかえる、そんなことがあってもいいじゃない。

 あと前髪下ろしたドイツは色々な意味で危険。



 ハンガリーがプロイセンを好きだったとして、それに気付くのはきっともう全然手のとどかないところに行ってしまってからかなーと思うのです。

 で、一番彼女が思うまま素で接することができたのが、プなんじゃないかな、実は。






 怒涛のごとくよくわからない話なので自己満気味にこっそり解説。
 独と伊喧嘩→張り手でうろたえる独。通りかかる洪、あまりの情けなさに普とうっかり見間違えて、で我にかえって、とりあえず独の髪をオールバックに戻してほっと一息。
 何でイタちゃんがドイツをはったおしたのかは不明。

Jan 01, 2008